WSで盛り上がった話でおさらいの巻ーその③ー

こんにちは。さらです！

ワークショップで参加者のみなさんの反応が大きかった身体のしくみを

おさらい的に書いてみよう第3弾です。

前回腕と呼吸の仕組みについて書いてみたので

呼吸続きで今日は「腹式呼吸とか胸式呼吸とかって、何が違うの？」というお話にしようと思います。

歌や管楽器で必ずといっていいほど言われる「腹式呼吸で！」「息をお腹に入れて！」というあれですね。

「胸式呼吸になってるからよくない！」というバージョンもあるかもしれません。

さて、また事実から先にお伝えすると「空気はお腹に入りません」。

↑これ、めっちゃだいじです＾＾

吸った酸素（空気）はどこに入るか？という問いに、胃や腸といった内臓と答える人はおそらくいないはずです。

ですよねー。肺に入りますよねー。知ってました。うん。

ではその事実を「知って」いながら、どうして大のオトナが「腹に息を入れろ！」と言うのか。

ちょっと不思議な気がしませんか？

ここで「胸腔」と「腹腔」の異なる点についてみてみたいと思います。

簡単に言うと横隔膜(上図赤線)を堺にして上側、肋骨の内側が「胸腔」(黄色)

いわゆるお腹といわれる胃とか腸とか腎臓とかなんとかかんとかのあるところが「腹腔」(青色)です。

胸腔内の大部分を占めるのが肺で、肺は「サイズ・容量を変化させる」入れ物です。

空気が出たり入ったりすることでサイズが変化していることはみなさんご存知ですね＾＾

対して腹腔は「容量が変わらず形を変えて動く」入れ物です。

中に色んなものがみっちり詰まっている1つの大きな水風船　というイメージが近いでしょうか。

この「違い」がけっこうミソなんです。

胸腔は容量が変わるので、息を吸うと前後左右上下に立体的に動きます。

横隔膜が収縮して引き下がったり、首や腕まわりの筋肉や肋骨の間の筋肉が働いたりしてこの動きが起こるのですが

この横隔膜の下降の動きによって、腹腔が下に押されるんですね。

上に書いた通り、腹腔内は容量は変わらず形を変化させながら横隔膜と一緒に下方に動きます。

（この時、腰椎のカーブに沿って動きが起きる というのもポイントです☆） 

しかし、骨盤の底で出口がふさがっているので、ある程度から下に動くことができません。

では、たくさん息を吸った際に腹腔はどうなるかというと、前に出てくるんですね。

これが「お腹に空気を入れる」「腹式呼吸」の正体です。

肺にたっぷり空気を吸うために横隔膜が下がる→腹腔が下に押される→下がりきれなくなった水風船（腹腔）が前面に出てくる

↑
この「結果的に」起きた最後の動きが目につきやすい。

だから「お腹を使う」という表現になってしまうんです。

ですが、息を「吸う」ための筋肉は横隔膜から上にしかありません。

腹筋を動かすことで息を吸おうとすることは、機能的に必要のないところを使おうとしていることになります。

（そして腹直筋のような表面の筋肉は使った感覚が分かり易いので、「やれてる感」ばかりが働いてしまいがちです）。

ちなみに、じゃあいわゆる「胸式呼吸」がいいのかっていうと

それだけに囚われない方がいいかもしれません＾＾

呼吸とともに肋骨は様々な方向にたっぷり動けますが、この肋骨の下部には多くの腹筋郡が付着しています。

ですので、肺＆肋骨の動きに合わせて腹筋郡もしなやかに動けるという理解は
きっとためになると思います。

また、呼気筋は主に腹部（及び骨盤底筋群）がその役割を果たしているので
「お腹」も呼吸には大切です。

(胸部の呼気筋は肋間筋という肋骨と肋骨の間の筋肉です)

ということで、どこ式呼吸かっていうよりは、「使えるもの全部使おう呼吸」がいいかなぁと思っています！

次回、この腹筋郡を息を吐くこと（歌うこと・演奏すること）にどう使っていきたいかの話に
つながっていきます♪